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弓浜絣Yumihamagasuri

弓浜絣は、江戸時代中頃より、鳥取県西部の農家の女性たちが家族を想い心を込めて織った木綿の絣織物です。 1975年には国の伝統的工芸品に、1978年には鳥取県無形文化財に指定されています。 弓浜絣の「弓浜」は、弓ヶ浜半島と呼ばれる鳥取県境港市から米子市にかけて約20㎞に及ぶ弓状に湾曲した沿岸の名称に由来し、「絣」はあらかじめ染め分けた糸を用いて図柄を織る技法を言います。 農民の自給用衣料に端を発しているだけに、素朴な絵柄と丈夫であたたかみのある風合いが特徴です。 腰が曲がるまでと長生きを願った海老柄の着物、男児の誕生に強く育つよう鷹や虎柄の布団、と家族の幸せを願う想いが、藍地に白抜きの絵画的な美しい曲線で表現されています。 また、文明開化の文字を図案化したものや戦時中には大砲柄と、その時代や世相をうかがい知ることもでき、多種多様な絵柄は今に伝わるものだけでも数百種類に及びます。 深い藍色に染めた布地は、洗えば洗うほど色が冴え肌触りもやわらかくなっていくため、耐久性に富み長く愛用することができます。

鳥取県 弓ヶ浜半島

◆伯州綿(はくしゅうめん)◆

弓浜絣の原材料は伯州綿という、伯耆国(ほうきのくに)で古くから栽培される和綿です。 弓ヶ浜半島特有の水はけのよい砂地と潮風が綿栽培に適し、弾力性と保温性に優れた良質な綿が育ちます。 全国的な評価も高く伯耆地方の一大産業でしたが、近代化が進んだ明治期、繊維が太く短い伯州綿は機械紡績で糸にしづらく、外国産紡績糸の台頭により次第に衰退していきました。 しかし伯州綿を手紡ぎした布のやわらかさや、布団の中綿にしたあたたかさは他で代用できるものではないため、細々ながらも途絶えることなくつくられ続けてきました。 綿花の国内自給率はほぼ0%と言われる現在においてもその栽培が受け継がれ、産業復活を目指す境港市の取り組みもあり、近年収穫面積・収穫量を徐々に伸ばしています。

製作工程
Munuffacturing process

製作は伝統的な手法で丁寧に一から手作業で行っており、その工程はおよそ30工程にも及びます。
その工程の一部をご紹介します

#01
綿栽培
Cotton growing

原材料となる伯州綿を畑で栽培します。
毎年5月に種をまき、秋に収穫します。
化学肥料・農薬は使用しておりません。

cotton 綿花
#02
種繰り
Ginning

収穫した綿についたゴミ等を除いた後、
綿繰り機を使って種を取ります。

Ginning 種繰り
#03
糸紡ぎ
Spinning

種を取り、綿打ちをした伯州綿を糸車で紡いでいきます。均一で丈夫ながら手紡ぎの柔らかさを感じられる糸を目指しています。

spinning 糸紡ぎ
#04
製図
Cotton growing

模様を図案化します。伝統的な鶴亀松竹梅をはじめ、現代的な新柄も製作します。柄のオーダーも可能です。

drafting 製図
#05
種糸
Transcription

張った糸に図案化した模様を写します。
括りの元となります。

transcription 種糸
#06
括り
Knotting

種糸に沿って糸を括ります。括った糸を染色することで、括った部分は白く残るため、織りの段階で柄が現れます

knots 括り
#07
染め
Dyeing

藍染めをします。
丈夫な糸にするためにも深い濃紺に染めます。

aizome 染め
#08
経糸準備
Warping

整経・綜絖通し・筬通し等さまざまな工程を経て経糸を織り機にかけます。

warping 経糸準備
#09
織り
Weaving

染めた糸を織り機で織っていきます。
着物一反分を織るためには、織り工程だけで2週間程度かかります。

weaving 織り
完成
Finish
完成 完成

弓浜絣のお手入れ・使用上の注意について

藍染めの製品は、長く放置しますと絣の白い部分に黄味が出る場合があります。
『灰汁出し』というお手入れを定期的にすることで美しさを保つことができます。

灰汁出し方法

①40℃のお湯または水に一晩ひたします。

灰汁出し方法1

②お湯または水を替えながら
2~3回すすぎ洗いをします。

灰汁出し方法2

③軽く水気をきり、型崩れのないよう
整えて陰干しします。

灰汁出し方法3
使用上の注意
・汗・摩擦による移染にご注意ください。
・使いはじめは色移りを避けるため、単独でお洗いください。
・蛍光剤・漂白剤入りの洗剤はご使用をお避けください。
・洗濯機を使用する場合、ネットに入れて手洗いコースでのお洗濯をおすすめします。